胚盤胞移植のキャンセルや一卵性双生児の問題もある。

しかし、胚盤胞移植も問題点がまったくないわけではありません。

何よりも大きな問題点は、長期間培養することにより、受精卵が胚盤胞にまで到達せず、移植がキャンセルになってしまう確率が高くなるということです。

受精卵を培養し続けても、最終的に胚盤胞にまで発育する割合は4割程度と考えられており、複数個培養しても、胚移植のキャンセル率が20%を超えるといわれています。

さらに胚盤胞移植には一卵性双生児の発生が増えるという問題があります。

胚盤胞を1個しか移植しなくても、それが2つに分かれ2つの命となることがあるのです。

一卵性双生児は二卵性双生児に比べ、分娩などの周産期管理は格段に難しいとされています。

なぜなら、一卵性においては胎盤を共有していますので、発育不全や胎児仮死といったことがまれではないからです。

胚盤胞移植が開始されたときには、このようなことが起こるとは予想されてはいませんでした。

通常の体外受精に比べ、胚盤胞移植は未だその安全性は確立されていないといえるのかもしれません。

だからこそ、ベジママのような市販の妊活サプリが流行るのも無理はありません。

また、欧米での厳密な比較研究では、妊娠率において4~8分割卵を移植する初期胚移植と胚盤胞移植を比べても、妊娠率にあまり変わりがないという報告もあります。

現在、胚盤胞移植が有効と考えられる場合として、良好な初期胚をくり返し移植したにもかかわらず妊娠に至らない症例では、着床障害が原因と考えられこの場合、より着床しやすい状態にある胚盤胞のほうが移植に適していると考えられます。

また、卵管性の不妊症、子宮外妊娠の既往のある人卵管水腫のあるケースなどでも、通常の初期胚移植より胚盤胞移植のほうがより妊娠率が高いと考えられています。

胚盤胞においても通常の初期胚同様、凍結保存もおこなわれますが、この場合解凍時に受けるダメージは胚盤胞でより大きく、移植がキャンセルになることもあります。

胚盤胞移植は、初期胚移植以上に、より高度な技術が要求される医療であり、医療機関による技術の格差は通常の体外受精にも増して大きいといえます。

さらに、胚盤胞移植は、胚盤胞にまで発育していく過程で受精卵が選択されていくので、見かけ上の妊娠率がよいだけで、最終的な妊娠率が高いとはいえないという報告が多くあることも知っておいてください。

IVFLesson8・胚盤胞移植ではドロップアウトが多い。